IT技術者のみなさんお仕事お疲れ様です。
この記事では、客先常駐しているエンジニアの単価がどのように決まるのかについて説明していきます。
(執筆:ライター小暮)
ビジネスの仕組みを知ろう
ビジネスの多くは仕入れと販売の差益で成り立っています。
業種によって違いますが、粗利(売上から原価を引いた金額)率は30%前後になる事が多いです。
派遣業(SES含む)も粗利率は30%ぐらいが一般的である事を知っておきましょう。
逆に考えると、会社を存続させるには粗利30%が必要になるという事です。
原価の計算方法
派遣・SESにおける原価はほぼ人件費です。
人件費=給料だと思っている人が多いのですがそうではありません。
以下の条件で人件費の計算方法を説明します。
交通費 20,000円
人件費
会社が負担する費用 |
金額 |
---|---|
給与 | 300,000円 |
交通費 | 20,000円 |
保険料 (15%で計算) | 48,000円 |
有給休暇(月1日取得として計算) | 15,000円 |
残業持出し分 ※1 |
46,800円 |
待機リスク(年間1か月想定) | 25,000円 |
合計 454,800円 |
※1 残業持出し分の計算方法
(180時間ー160時間)×残業単価
顧客との契約における精算幅の上限が180hの場合、月間稼働が180時間までは追加でお金がもらえません。ただ、社員への残業代は支払わなければいけないので、この差の20時間分を原価に算入します。
・事務所費用
・通信費
・光熱費
・販売管理費 など
原価の計算方法は以上です。
月給30万の社員でも45万以上のコストがかかっている事が分かると思います。
派遣のお給料が高い理由
ちなみに登録型派遣の方が総じてお給料が良いですが、その理由はこの表で言う所の有休、残業持出し分、待機リスク(合計で86,800円分)がほぼゼロになり給与に上乗せできる為です。
雇用リスクも少ないです。
・残業持出し⇒顧客との契約も時給が多いので不要
・待機費用⇒案件が無い時は給料も発生しないので不要
売価の計算方法
最初に多くの企業で粗利は30%程度になるとお話ししました。
では月給30万円の技術者の提案単価(売価)はどれぐらいになるのでしょうか。
計算方法は次の2通りあります。
①454,640円÷0.7 = 649,485円
②454,640円×1.3 = 591,032円
①か②かは会社によって考え方が違いますが、いずれにしろ60万~65万で提案しないと、会社を継続するのに必要な利益が確保出来ないという事になります。
まとめ
月給30万の技術者の提案単価は60万~65万になる事がお分かりいただけたと思います。
利益管理をしている人からすれば当たり前の話なんですが、技術者の人がみたら
え!?会社が35万もピンハネしてるの!?!?
ってなりますよね。
実際はここから、販管費の他に、訴訟リスク、未回収リスクなども積んでおかないといけないので、粗利で30%はそれほど搾取ではありません。
最後に、給料から自分の単価を予想出来るツールを作ったので遊んでみてください。
※交通費は入力しないでもいいですが、入力した場合は計算ボタンを再押下してください。
※計算結果から分かる事
実際の単価より低かったら
①会社が利益を低くして給与に還元している
良い事のようにも思えますが、利益率が低いというのは会社経営としては悪い事なので一概には言えません
②営業力が低い
低単価でしか決められないという事は営業力が無いと考えられます。
③自分の給与が相場より高い可能性
実際の単価より高かった場合
①会社が儲けている
悪いようにも思えますが、会社に体力があるというのは(長く働くなら)安心材料ですね
②営業力が高い
相場よりも高い単価で決定出来るのは営業力が高い証拠です
③自分の給与が相場より安い
(執筆:ライター小暮)