訪問販売の世界で何年にも渡って年収1000万以上稼いだ私が正しいテストクロージングのやり方をお教えします。
私は事務職からいきなり完全歩合の営業に転職したので、とにかく最初は分からない事だらけでしたが、中でも一番理解出来なかったのがこのテストクロージングです。
他の事は【意味は分かったけど上手く出来ない】って感じでしたが
テスクロは【意味もやり方も分からない】という状態がかなり長く続きました。
当時、私が抱えていたテストクロージングに対する悩みは次の4つです。
- どういう風に聞けばいいのか聞き方が分からない
- いつ使えばいいのか、タイミングが分からない
- 教わった通りやっても効果が実感出来ない
- 悪い返事が来たらどうしたらいいの?
同じような悩みを持っている人が参考になるように、そもそもテストクロージングとは何なのか、いつ、どんな風に使えばいいのかなどについて、例を挙げながら説明していこうと思います。
テストクロージングとは
相手に買う意思があるかないかを確認する事がテスクロの大きな目的です。
一般的に良く言われる例は
『もし買うとしたら何色がいいですか?』
『買うとしたらいつ頃をお考えですか?』
などのパターンですが
実はこれ、テストクロージングではありません
こんな事を言うと
『トップセールスが書いた本に載ってた!』
『営業コンサルがそう言ってた!』
『会社でそう教わった!』
と言われちゃうのですが、違うものは違うので仕方ありません。
まずクロージングが何かを一言で説明すると
「買ってください」と言う事
です。
※こう言う事で、買うか買わないかのどちらかになりますよね。営業にとっていい結果であろうと悪い結果であろうと、商談を終わりに向かわせる事をクロージングと言います
これを踏まえてテストクロージングを一言で説明すると
「もし○○だったら、買ってください」と言う事
になります。
まず最初にこれが正しいテストクロージングだという事を理解しておいて下さい。
正しいテスクロと間違ったテスクロの例
正しいテスクロ
もしその色があったら(仮定) 買いますか?(確定)
※色を仮定にして、買う意思があるかどうかの確認が出来ている
間違ったテスクロ
もし買うとしたら(仮定) 何色ですか?(確定)
※買うかどうかは仮定のままで色だけが確定した状態ですね。これだと実際に買う気があるかどうかの確認にはなりません
ただ、そうは言っても商談中に何度も
○○なら買いますか?とは警戒されてしまうので聞けません。
そこで、実際には次のように聞いてください。
・もし○○だとしたら、どう思いますか?
・もし○○なら、ご検討いただけますか?
これを先ほどの色を聞くトークに当てはめると
このように聞くことで、しっかりと買う意思の確認が出来ます。
私も昔は、もし買うとしたら何色がいいですか?という聞き方をしていたのですが、効果がないどころか、下手に使うと逆効果になってしまう事も多かったです。
次に私の体験を基に、悪い結果になってしまったパターンを見ておきましょう。
効果のない間違ったテスクロのパターン
商談は、商材の種類に関わらずおよそ次の順番で進んでいきます。
1.アポイント取得
2.アプローチ
3.フロントトーク
4.商品説明
5.クロージング
では、買うとしたら○○ですか?という質問をアプローチやフロント部分でした場合に良くある失敗例を相手の心理に立ってみてみましょう。
会話例
つーかここで答えたら買うと思われてしつこくされそうだな、買うつもりではいるけど、他も比べたいし適当にあしらっといたろ
このように、あまり早い段階で聞いてもうざがられるか警戒されてしまいます。
ただ、もしここでいい返事がもらえるとしたらどうなのでしょうか?
ほとんどの営業の本では、見込み客かを見極める為に聞くと書いてありますし、上司からもこれで答えてくれた客は買うぞ、と言われてる人もいるでしょうから、聞く意味あるんじゃないの?と思いがちですが、実は特に効果はありません。
なぜかと言うと
です。
営業の基本トークは買う相手に向けて作られているので、ここでいい返事がもらえたとしても『あー良かった』と思って、結局基本トークに戻って商談を進める事になります。
ということは、ここで得られるのは自分の安心だけってことになります。
そもそも、こんな早いタイミングで聞いても
本当は欲しいのに警戒して断っているのか、買う気は無いのに適当にいい返事をしているのか見分けがつきません。
ここで下手なテスクロを入れてしまうと、買う気はあるけど警戒している人を取りこぼす事になってしまいます。
こう考えれば、何のメリットもないのに
警戒されるリスクだけ大きい
という事が分かっていただけると思います。
では、クロージングに入ってから聞くのはどうでしょうか?
これも相手の神経を逆なでする結果になってしまう場合が多々あります。
(また私の体験談ですが・・・)
クロージング中に間違ったテスクロを入れた場合
クロージングに入った段階で落ちてない(買う気になっていない)お客さんに
『もし買うとしたら○○ですか?』
という質問したらどうなるか例を挙げて見てみましょう。
会話例
なんなのコイツ関係ないことばっか聞いてきやがってよ、安くはなんねーのかよ、だんだんムカついてきたし、断っとこ。
どうでしょうか。相手が警戒したり、怒ってしまう時の心理が良くわかると思います。
さらに問題なのは、意味が分からないからとテスクロを使わなくなり、結果いきなりクロージングをかけて断られてしまう事です。
または以下の例のように、間違ったテスクロが原因なのに、いい答えが来なかったから買わない客だと決めつけてしまう事です。
こんな感じでは契約をとる事は難しいでしょう。
ここまで読んで頂いた人は、テスクロに関してほぼ完全に理解したと言っても過言ではありません。
問題は『聞き方は分かったけど、悪い返事が来たらどうすればいいの?』
って事ではないでしょうか。
ではここから、テスクロを入れるべき3つのポイントと、悪い返事が来た時はどうするのかについて説明していきます。
テストクロージングを使う3つのポイント
テストクロージングには目的別に3つの使いどころがあります。
イズムテストクロージング
イズムとは主義とか主張など、その人の行動原理になる考えの事です。
皆さんはクロージングに入ってから、そういったものは好きじゃないとか、反対だ、のように根本からひっくり返されるような断りを受けた事はありませんか?
こうなってしまうと契約はほぼ不可能です。こうならないよう事前に相手の考えを確認しておく必要があります。
ここでは、ダイエット薬の営業を例にして説明してみましょう。(そんな営業はないと思いますが・・・)
会話例
いきなり商品説明をしてしまった事で、楽して簡単にという言葉が相手の主義に反してしまい、強い断りを受けています。
これではこの後の商談は厳しいものになるでしょう。
ここでこの営業は契約をとりたいあまりに、次のように応酬をしました。
これではここで商談終了になってしまいますね。
ではどうすればいいのかというと答えは簡単です。
『もし楽して簡単に痩せられる薬があるとしたら、どう思いますか?』
と聞くだけです。
そうするとどうなるか、もう少し会話例を見てみましょう。
(※こう言われると、それが実はあるんですよ!と言ってしまいがちですがやめておきましょう。じゃあ買います、なんて事にはなりません。)
突然ですが、ここでルール①です
「あるはずがない」は賛成でも反対でもないので、続けて質問します。
テスクロを入れた結果、悪い返事がきてしまいました。
私のように気が弱い営業は
(あー反対されたんだからもう売れないよね、今日もダメか)
と、思ってしまいがちですが、まだ諦めないでください。
ここでルール②
こういう時は反対する理由を聞くようにしてください。
なるほど、怪しいと思って断ってるんですね、この人は。
そして、「怪しくない?」は賛成でも反対でもないのでルール①を適用して更に質問します。
最後の「そりゃそうだよ!」はイエス(同意)と言います。
商品に対してのイエスが得られたので、これで相手の考え(イズム)に対してのテスクロを終了します。
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※おまけ 商品説明のやり方
折角なので集めた情報を使った商品説明のやり方を解説してみます。
- 楽して結果を得るのはよくないし、そんな物はない
- きちんとした根拠のないものは信用しない
- 簡単に得たものは失いやすい
これが全部クリアになるものなら良いと、このお客さんはいいましたよね?
という事は、この意見に合った商品なら文句ない訳です。
ここでは次のように商品説明をしてみましょう。
営業『実は今日は、新しいダイエット補助薬(※1)の説明をさせてもらっているのですが、毎日飲む事によって、普段の運動の中で(※2)の脂肪燃焼効率を良くして、ダイエット効果をUP(※3)する事が出来る商品なんです』
営業『また、臨床試験の結果、色んなお医者様から安全性も保証されいる(※4)ものなんです。さらに筋力もUPするのでリバウンドしにくい体になります(※5)』
補足
※1 これだけでワケもなく痩せるんじゃなく、補助するものですよ
※2 飲んでるだけじゃダメですよ、だけど運動を増やすワケでもないですよ
※3 ダイエットしてる人の効果がUPするのであって、飲むだけじゃないですよ
※4 医者も保証してるんで安全ですよ
※5 リバウンドしない根拠もありますよ
非の打ち所のない商品説明ですよね。
(これはあくまで例えなので、実際の商品説明は法律に則ってやってください)
いきなり楽して簡単に痩せる!と言ってしまうと反論された時に取り返しがつきませんが、考えを先に聞いてから説明する事で、お客さんの心に刺さる商品説明が出来るようになります。
後出しジャンケンなら負ける事はありません
また、ここまで聞いておく事でクロージングになってから商品の事で反論される事はほぼなくなります。
良く居るのが、途中までいい雰囲気で聞いてた(テスクロ入れても簡単にYESが取れる)のに、金額を聞いた途端に商品にケチをつけ始めるお客さんです。
これは金がないとは言いたくないから商品に難癖をつけて断ろうとしているんですが、この状態から契約に持ってくのはほぼ不可能です。
こうならない為にも先に相手の考えを反対意見含めて聞いておく事が重要です。
まとめ
①商品説明をする前に、相手の考えにテスクロをかける
例)もし○○だったらどう思いますか?
②賛成でも反対でもない意見にはさらに質問をする
例)そんな物ないでしょ→もしあったらどう思いますか?
③根拠のない反対をされたら理由を聞く
例)そんなの反対だね→どうしてですか?
①~③を同意が取れるまで繰り返す。同意が取れたら終了。次のステップへ。
バリューテストクロージング
商品への反対を潰したら、次はお金の問題です。
金額の説明をする前に必ず確認しておきたいのが相手の価値観です。
次の二つの点に対して必ずテスクロを入れるようにしてください。
商品ジャンルに対しての価値観
商品のジャンルにどれぐらいの価値を感じているかの確認をします。
例えばプリウスなら車、生命保険なら保険になります。
ここでは仮に保険だとして考えてみましょう。
会話例
この会話から、この人は保険に対しての価値観が驚くほど低い事が分かりました。
(家族4人の保険で5000円しか出す気がない訳ですから)
こうなっちゃうとテスクロでどうにかなる問題じゃありませんね。
ただ、テストクロージングのいいところは、このままクロージングかけたら絶対断られるなっていうポイントを知る事ができることなんです。
このケースでこのまま金額説明をしたら100%断られますよね?それが知れただけで収穫ありです。
価値観にテスクロを入れた事で、先に価値観を上げないと断られると分かった訳です。
この人の場合は、商品の良さではなく、保険自体の重要性を分かってもらう必要がありそうですね。
商品自体への価値
ちょっと表現がベタですが
営業『もしお客様の希望がかなう商品があるとしたら、どれぐらいの価値があると思いますか?』
などのように、得られるメリットに対してどれぐらいの価値を感じるかを確認します。
シンプルに説明するとこんな感じです。
営業『この商品いくらすると思います?』
お客「100万円ぐらいですかね」
営業『じゃあもしそれより安かったら買ってください』※ここがテスクロ
お客「はい」
※実際の価格より高く答えてくれたら、価値を感じてくれているという事になります。逆に安く言われたら商談を先に進めてはいけません。それを判断する為のテスクロです。
いずれの場合も、実際の金額に見合った価値を感じているかどうかについて確認する事が最大の目的となります。
主に、前者でお金を出す気があるかの確認を取り、後者で自社の商品に対してどれぐらいの価値を感じているかのリサーチをしっかりしておきましょう。
決定権者を確認する為のテスクロ
最後は決定権者の確認です。最終的に買うのを決めるのは誰かを確認します。
シンプルに書くと
営業『決めるのはあなたですか?』
お客「そうです」
営業『じゃあ話を聞いて買うか買わないか判断してください』※ここがテスクロ
お客「分かりました」
こうなります。
これを聞く時に注意しなければならないことが3つあります
警戒心を解く
相手が警戒してるときに『あなたが判断できますか?』と聞くと、私だけじゃ決められないという答えが返ってきてしまいます。これを言われると即決させるのが非常に難しくなります。
再訪でもOKという優しい会社であればそれほど気にしなくてもいいかもしれませんが、即決させた方が契約率が高くなるのは間違いありませんので、出来れば私だけでは決められないと言われないようにしたいところです。
その為にもまず相手の警戒状態を解くことが重要になってきます。
決定権者が2人以上いる場合がある
例えば、欲しいかどうかは自分次第だけど、お金が払えるかは聞かないと分からない、この場合、決定権者は2人になります。
このケースでは再訪の設定に入りましょう。もし相談して返事をすると言われたら、『是非私から説明させてください』と言って、断固として相談はさせないようにしなければなりません。
相談して返事しますと言われて契約になる事は無いと思って下さい。
この状態をひっくり返すには、自分がその場に居合わせる以外に方法はありません。
ですので返事待ちだけは絶対にやめて、即決させるか再訪するかの二択を常に意識するようにしましょう。
もし、この両方を嫌がられるとしたら相手が落ちてません。この場合は一度引いてどこか気になる点がないか聞いてみましょう。
私だけでは決められないと言われても無視する
なんじゃそりゃとなりそうですが、相手が警戒して言ってるのか本当に決定権がないのか見抜くのは難しいので、取り合えず無視してクロージングを進めてしまいましょう。
ちなみに、ここで再訪の設定を断ってくる人
例えば
こういうタイプは自分で決められる可能性が高いです。(もしくは全く買う気がないか)
実は、私には決められないと言われても、そのまま契約になる事はざらにあるんです。
逆に、これ重要なんですが、決められないと言ったのに断ってくるパターンも結構あります。
いずれにしても、『私には(”買うか” ”買わない”か)決められない』と言ったのが嘘だった事ははっきりしますよね。
この場合は単純に相手が落ちてない、買う気になっていないという事です。
三つのテスクロが終わったら
ここまでは警戒されないように『もし○○なら買って下さい』と言わずに話を進めてきましたが、三つのポイント全部で同意が取れたら、一度、『○○だったら買って下さい』と言って下さい。
例えば
『ではこれから金額の説明しますので、費用に問題が無ければ買って下さい。』
のようにです。
もし、買って下さいではダイレクト過ぎると感じる場合は、次のように言い換えて大丈夫です。
・金額が無理のない範囲だったら考えてください
・今より費用の負担が下がるなら入れ替えてください
商品の内容、価値、決定権者、この3つにテスクロを入れて、全て同意が取れたらいよいよクロージングに入ります。
ここまできちんと同意をもらいながら話を進めて来れていれば、80%以上は契約になります。
最後に
女の子をデートに誘う場合
「もし、俺とデートに行くとしたらどこに行きたい?」
『えー?映画かなぁ・・』
「じゃあ今度行こうよ!」
『うん、考えとくね・・・』
これだと、行きたいのか行きたくないのかさっぱり分かりませんよね?
※これで見込みがあると感じる人はあまり営業向きじゃないかもしれません。
じゃあもしこう聞いたとします
「どこだったら俺とデートに行ってくれる?」
これはかなり踏み込んだ聞き方ですよね、女の子側は答えたら行かなきゃいけませんから。
「うーん、映画だったらいいよ』
「ほんと?じゃあ行こうよ!」
『うん、わかった』
もしかしたら
『えー、やっぱ無理!』
と、言われるかもしれませんが。
このように断られる危険もありますが、行く気があるか無いか、確実にハッキリしますよね!
ちなみに、もしあなたが無理と断られたら次の三つの内どれを選択しますか?
①「えー、いいじゃん行こうよ!」
②「分かった、ごめんね」
③「なんで嫌なの?」
正解は③です。
一緒に行きたくない理由が、服がダサいからであれば、そこを直してもう一度誘う、あなたと行ってもつまらないからと言われたら面白いと思ってもらえるような行動をしばらくしてからまた誘う、などのように原因を改善してまたトライするのが営業として正しい行動です。
(あくまで営業的なお話です。ストーカーと思われても責任持てませんので気を付けましょう)
このように、デートに行くとしたら?と聞いても何の意味もないのと同じで、買うとしたら○○ですか?という質問にも全く意味がないということを覚えておいてください。
営業の人にここで書いた話をすると、自分が教わったテストクロージングとは全然違ったとか、初めてやり方が分かったと言ってもらえる事が多いです。
また、初めてテスクロの効果が実感出来たという話もたくさん聞きます。
是非あなたの営業にも取り入れてみてください。