SES営業のみなさんこんにちは。
『契約が取れなくて辞めたい・・・』
という人向けに、SES営業で結果を出す方法を解説していきます。
SESと異業種の営業との違い
最初に知っておいてもらいたいのは、SESの営業は基本的にすごく簡単だって事です。
いきなりこんな事言うと反感を持たれちゃいますので、実際に異業種と比較してみましょう。
案件のメールが来る
みなさん普段から何の気なしに案件メールを見てると思いますが、それって異業種で言うと注文と同じです。
もらった案件に対して人が居ない、というのは他の営業で言えば在庫がないから売れない状態です。
客から売ってくれというメールがどんどん来てる訳です。
これだけを見れば正に天国です、こんなに簡単な営業は異業種にはまずないと思っておいた方がいいでしょう。
商品説明を本人がしてくれる
物を売る営業であれば、自分が扱っている商品のスペックだったり、他社よりも優れている点などを、正確に覚えたり上手にプレゼンする必要があります。
SES営業の場合は基本的には経歴の説明は本人がしますし、技術的な話も本人がしてくれます。極端に言えば、技術者が優秀(技術もトークも)なら営業の代わりにぬいぐるみを置いておいても契約は取れてしまいます。
価格競争がない
技術者同士というのは単純に金額だけでは比較が出来ません。コミュニケーション力や、年齢、スキルなどを含めて総合的に判断されます。
物を売る場合、どれだけ必死に営業しても最後は『同一仕様』での『数社合い見積もり』を取られて、一番安いところに発注先が決まってしまう事がよくあります。
人の場合『同一仕様』にする事ができないので価格競争が発生しないのです。営業としてこんなに簡単な事はそうそうありません。
アポが簡単に取れる
異業種でのアポ取得率が1%だとしたら、その何十倍も簡単に取れます。
なぜなら何かを買ってくれという事じゃなく、案件情報や要員情報を交換しませんか?というアポだからです。
ちょっと想像してみてもらいたいんですが、あなたがもしパッケージソフト(SaaSとか)の営業だったら、どうやってアポの電話かけますか?そしてどれぐらいアポに出来そうでしょうか?
久しぶりなんで情報交換に行きたいんですが時間ありますか?、だけでアポになる程簡単ではないでしょう。
もし、SESのアポが辛いなら営業職自体を諦めるしかないかもしれません。
ノルマが厳しくない
物であればいくら売れても作ったり仕入れればいいので、商品が無くなるなんて事はありませんが、SES営業の場合は技術者が居なければ売るものがありません。
しかも、SESなら今月30人稼働していて終了がゼロなら、来月何もしなくても売り上げはキープされますが、物を売るのは今月1000万売っても、来月はまたゼロからのスタートです。つまり毎月毎月厳しいノルマに追われるという事です。
先日派遣法の改正がありましたが、過去の例を見ても、派遣法が変わった後は必ず請負に行政の目が向きます。おそらく近い将来SESに大きなメスが入るでしょう。
あなたの会社はグレーなSES契約がすべてなくなっても大丈夫ですか?
何かSES営業を下げるような言い方になってしまったかもしれませんが、そういうつもりは全然ありません。
確かに簡単かもしれないけど、その分大変なところもたくさんありますので。
例えば、人を扱う仕事なのでトラブルも多くその対応に苦労している人もいっぱいいると思います。
さて、ここまでの長い前振りで何が言いたいのかというと、SES営業を辞めてもいいけど、他の業界の方が絶対に厳しいし、まずSESで結果を出してから考えてみてもいいんじゃない?って事です。
では、ここからはタイトルにもある通り、売上を倍増させる方法を公開していきます。
目次
①見込み客の選定
②社内の競争に勝つ
③契約から逆算して行動する
④アポの取り方
⑤案件のもらい方
⑥マッチング~提案
⑦技術者の所属別、営業の仕方
⑧面談設定~面談対策
⑨面談後
①見込み客の選定
これがかなり重要度が高いです。
これだけでもきちんと出来れば、営業成績は中の上ぐらいまでくるはずです。
SES営業は割と辞める人が多く、最初から既存顧客を引き継いだり、以前誰かが行っていた顧客に訪問する事になりがちですが、そこに何も考えずに営業しに行ってもいい結果にならない事が多いのではないでしょうか?
だって他の営業が手を付けなかったから残ってる訳ですから。
そこで、まず最初に良い顧客とは何かを知るところから始めていきましょう。
商流が浅い
商流だけで考えれば一番いいのはエンドユーザですが、SESでエンドに営業しにいくのは効率が悪いです。
なぜならエンドユーザはピンで人を出して欲しいのではなく、何かしらのソリューションやプロダクトを探しているからです。
こんな人がいるんです、って言ったとしてもまず相手にされないでしょう。
会社の考えにもよるので一概には言えませんが、現実的に考えれば元請け企業を狙うのがベストです。
2021.5追記
最近は自社サービスを開発している会社やベンチャーなども増え、エンド直の契約もハードルがかなり下がりました。ただ、必要な期間だけ優秀な人を一本釣りしたい傾向が強く、大手SIを狙った方が効率的な事は変わらないでしょう。
フリーランスのエンジニアを多く抱えている会社はこういうところを狙っているケースが多いですね。
面談回数
面談回数が一回じゃない会社は一気にランクが落ちます。
元請け企業でも、営業が一回、現場リーダーが一回、最後にユーザとの顔合わせで3回も面談が必要なんて事もあり得るので注意が必要です。
私はこういう客は提案優先度を下げるようにしています。
何度も面談しているとその間に社内外の競合に負けてしまい、結局自分の数字になりません。
ですので、現場リーダの面談1回だけ(顔合わせもなし)という会社を探して確保していきましょう。
こうする事で、他に取られて決められないという事態を回避する事ができます。
基本的には悪い客に行くぐらいなら、社内で新規テレアポをした方が絶対マシです
(営業は足で稼げ、みたいな会社だと怒られますが笑)
担当顧客の構成
どんなに商流が浅くて、面談回数が少なくても、自社の技術者に合った案件がなければ契約にはなりません。
ただ、自社にJavaの技術者が多いからといってそういった顧客にばかり訪問していると、それ以外の技術者を決めにくくなってしまいます。
そこで、担当顧客を自分が営業する技術者の分布と合わせるようにしてください。
例えば、あなたの会社の技術者(もしくはあなたが営業する技術者)の割合が
インフラ 50%
開発 40%
ヘルプデスク 10%
だとした場合、自分の担当顧客もこの比率に合わせるようにします。
仮に担当顧客が100社あるとしたら
インフラに強い顧客 50社
開発に強い顧客 40社
ヘルプデスク系顧客 10社
こうなるように構成してください。
そうする事でどの技術者を営業する事になっても、高確率で提案や面談につなげる事が出来ます。
②社内外の競争に勝つ
売り手市場の場合は特に、社内外の営業との競合に勝たなければ提案すらままなりません。
自分も面談設定までいったのに、いつも他に取られて決められない、なんて事はありませんか?実はこの問題も先に話した、見込み客の選定がしっかり出来ていればクリア出来たも同然です。
早さは何物にも勝る武器です。他の営業に取られるのは同時に営業しているからです。
誰も面談を組んでない状態で決めてしまえば、会社としてもそこにするしかありません。
他には
・進みは遅くても条件が破格に良い案件を見つける
・早めに確定が出る案件をつかむ
このような顧客をつかまえる事が考えられます。
③契約から逆算して行動する
営業経験者であれば誰しも言われた事があるんですが、SES営業は営業の基本すら教えてもらっていない事が多いので、あえて説明しておきます。
みなさんは自分の面談設定率と決定率って把握してますか?
会社で出せと言われてる人もいるかもしれませんが、知らないのであれば月ごとに必ず出すようにして下さい。
では、月の契約ノルマが3件で、あなたの面談決定率が1/3、面談設定率が1/5
だとした場合、ノルマを達成するには月に何件提案すればいいか計算してみましょう。
計算式はこうです
3(契約件数)÷ 1/3(決定率) ÷ 1/5(面談設定率) =45(提案数)
一か月に45回提案すれば、計算上は3件の契約が取れる事になります。
常日頃からこうやって結果から逆算して行動を決めるように心がけて下さい。
こうすることで、
・45回提案して面談が9件以下(1/5より悪い)ならマッチングに問題がある
・面談を9回設定したのに契約が3件以下なら、案件の情報収集が足りない、技術者への面談練習が必要
などのように、自分の営業活動のどこが悪いのか原因をチェックする事ができます(←超重要)
④アポの取り方
SES営業で必要になるアポには次の3つがあります。
初回訪問時のアポ
新規のアポです。
残りの二つに比べるとやや取得率は下がりますが、それでも異業種に比べれば全然ましです。
ここで大事なのは、出来るだけ元請け企業をリストアップするという事なんですが、HPを見ただけではいいか悪いか判断が難しいですよね?
そこでいくつかポイントをまとめてみたのでこれにそってリストアップしてみてください。
- メーカ子会社、エンドの情報子会社、外資系SIerのコアパートナー企業
- HPの取引先にエンドユーザの記載がある
- HPにソリューションやプロダクトの詳細が載っている
これらに当てはまれば、元請けや自社で受託の案件を持っている可能性が高いです。
続けていれば他にも良いお客さんを見分けるポイントが見つかりますので、常に意識して営業をしましょう。
引継ぎのアポ
SES業界でよくある前任者退職による引継ぎのアポです。
通常の引継ぎであれば特に難しいところはないと思いますが、問題は古い名刺だけ渡されて以前誰が行ってたかも分からないところにかける時です。
特にコツもありませんが、あえて言うとしたら前任者が不明だという事になるべく触れずにアポを取る事でしょう。
一応参考までにこんなトークでどうぞ。
お世話になります、株式会社○○の○○と申します。今回新しく私が御社の営業担当になりましたのでご挨拶にお伺いしたくご連絡致しました。
来週の○日はご都合いかがでしょうか。
※間をあけずに日程調整に入るのがコツです。
※以前誰かが行っていたと言うと、前任の名前を聞かれたり面倒なので言わない。
再訪のアポ
意外と苦手な人が多いと言うか、最初につまづきがち?なポイントかも知れません。
初回訪問時によっぽど対応が悪かったのか、再訪のアポが取れないなんて事ありませんか?
ここで辛く感じるとしたらそれは自分が拒否されるからです。
会った事もない人に電話で断られるだけなら実感がありませんが、一回会った人に断られるのは結構きついです。
こうならない為に、初回訪問時に相手がまた会いたいと思うような言動を取るようにしてください。
例えば以下のような対応をする営業は避けられがちです
・派遣や請負などの法律知識や、36協定などの基本的な理解がない
・営業がたくさんいて並行のコントロールが効かなそう
・話がかみ合わない
・会社独自のルールが多くて面倒くさそう
まとめると、良く分かってない営業や、営業ルールが無秩序な会社は確実に嫌がられます。
分からない事があっても分かったフリをせず、教えてもらうか、戻ってすぐ調べますと素直な態度を心がけましょう。
⑤案件のもらい方
案件情報を一斉配信しているようであれば、あなたの会社で決まっているアドレスに送信してもらえるようお願いします。
確実に送ってもらう為に、訪問のお礼メールに送信先を書いておきましょう。
(相手もアドレスを手打ちするのは誤送信のリスクがありますので)
配信してもらえるようになればOKですが、もらえない時は相手が忘れているか、こちらの様子を見ている場合があるので、要員の先行提案をしてみましょう。
一斉配信をしていないところには先行提案をするようにし、定期的に通うようにしましょう。
ちなみに、案件を一斉配信している会社には訪問してもあまり意味がありません、別の事に時間を使った方がいいです。
足しげく通っていい案件をもらえとか、他社より早く情報をつかめという上司も結構いますが、一斉配信に関して言えばそんな事しても効果はありません。
営業を続けていると面談が組まれた際に現場の担当者の方とつながれる事が出てきますが、そちらとのコンタクトは頻度を上げていきましょう。
営業を続けていると徐々に直接電話で案件をもらったり、メールもBccではなくToでもらえる事が増えてきます。これは上手くいっているサインですので、是非継続しましょう。
⑥マッチング~提案
案件をもらえるようになったら次はマッチングです。
最初の内はある程度幅を広げて積極的に提案してみましょう。(あまり的外れな提案ばかりしていると信用されなくなるので注意)
たまに、年齢がちょっとでも当てはまらないとか、スキル要件を完全に満たしていないからと提案しない営業がいますが、この場合「少し当てはまりませんがご検討下さい」と一言添えておけば問題ありませんので、積極的に提案するようにしてください。
提案時に注意したいのが、先方が必要としている情報をきちんと提示する事です。以下が良くあるテンプレです。
氏名(イニシャル)
年齢
性別
所属
稼働可能時期
単価
最寄駅
並行状況
アピールポイント
面談可能日
もし先方がフォーマットを用意しているならそれを使った方がより分かりやすいでしょう。
また、スキルシートを送った後は必ず送った旨を電話で伝えます。
(大手の会社だとすごい量のメールが来ているので見落とされてしまう事が多々あります)
⑦技術者の所属別営業の仕方
SESで営業する技術者は大きく分けて次の6つが考えられます。
自社プロパー
自社契約社員
個人事業主
BPプロパー
BP契約社員
BP個人事業主
それぞれの営業の仕方や注意点を説明します。
自社プロパー
自社の正社員を営業するのは比較的簡単です。並行営業を自社内でコントロール出来るし、本人に辞退されたりバックレられる事があまりないからです。
これを決めるには①で説明したいい客をつかまえる事です。(営業の考えるいい客と会社が思ういい客は違う事があるので注意しましょう)
自社契約社員
契約社員はプロパーより少し難しくなります。条件が折り合わないと提案出来ないからです。ここで必要になるのは、自分の振りたい案件を相手に受けてもらうトーク力です。
ただ事務的に連絡するのではなく、本人の希望や考えに合わせて、相手のメリットになるように話す事や、普段から人間関係を築いておく事で条件と合わなくても受けてもらえる確率が上がってきます。
例えば、他の営業が通勤1時間超えの案件を紹介したら遠いと断られたのに、自分は受けてもらえた、となればうまくいっています。
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個人事業主
個人事業主は特に案件を選びます。
またコントロールも難しく、稼働が増えたり不満があるとバックレるような人もたまにいます。これを避けるには、とにかく仲良くなっておく事です。これに勝る方法はありません。
また、お客さんには個人事業主不可のところもありますので注意しましょう。
出来れば、税金や国民健康保険、確定申告の事なども少し勉強しておくと、相手が何を望んでいるのか分かりやすくなると思います。
上手に説明すれば一時的に契約社員になってもらう事も可能です。
例えば社会保険、厚生年金分を上乗せして払いますとか、年金は合算出来るのでまるっきり損な訳じゃありませんよねとか、二か月未満なら法的には社会保険に入れないでもいいとか、知識があれば説得出来るケースも増えてきます。
特に最近の人手不足な状況下では、技術者を説得出来ればそれがそのまま契約につながるような状態ですので、人を口説ける事がイコール売り上げUPにつながってきます。
逆に人を口説けない人はいつまでたっても契約が取れません。
ビジネスパートナー(以後BP)の技術者を決める
SES営業をしている人の中には、BPの技術者だけを営業している人もいると思いますが、これは結構難易度が高くなります。
並行営業のコントロールも確実にやらないといけませんし、初めて会う相手を面談に連れていくので決定率も下がりがちです。
また、商流が深くなる程、単価に見合わない技術者が増えます。
理想としては、経験豊富な営業が、直雇用の正社員を提案してくるBPとお付き合いするのがいいでしょう。
ただノルマがあったりすればそうも言ってられないと思いますので、最低でも次のポイントだけは事前に確認しておくようにします。
- 所属(正社員・契約社員・個人事業主・一社先など)
- 稼働実績(今までアサインした事があるか)
- 並行状況(面談設定の有無、結果待ちの有無、並行案件の優先順位など)
たくさん人を提案してくれるBPさんに良くあるのが【採用予定】ってやつです。
これは案件が決まったら雇用契約を結びますって事なんですが、言ってしまえばどこにも所属していないそこら辺の人と同じです。
こういった場合に注意しなければいけないのは、その人は自分でも就職活動をしているという事です。並行状況を聞くだけでなく、本人の面接状況も聞いておきましょう。
(これを把握してない営業が非常に多いです。逃げられた時の保険に意図的に隠しているのかもしれませんが)
⑧面談設定~面談対策
お客さんから面談の依頼が入ったらすぐに面談設定をします。
ここで注意したいのは、とにかく一日でも早く、最速のタイミングで設定する事です。
よく見かけるのが、技術者に今週は忙しいので来週で、と言われてそのままお客さんに伝えてしまう営業です。こんな事をしていたら取れる契約も取れません。
こういった場合、本人が自分で定時上がりの交渉をするのを嫌がってる(忙しい現場ならなおさら)事がほとんどなので、営業からお客さんに掛け合ってあげましょう。
他の営業が担当している常駐先の場合は、その営業に相談して極力早めに設定出来るよう死力を尽くします。(大げさかもしれませんが、とにかくスピードが命なので、ここで遠慮してちゃいけません)
とにかく1日でも早く面談を設定するのが、競合に勝つ鉄則です。
ただ、折角早く面談を組んでも落ちてしまっては意味がありません。
落ちるパターンとしては、本人が面談下手、金額が合わない、他社の要員に負ける、などがあります。
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⑨面談後
面談が終わったら技術者に席を外させて、お客さんと打ち合わせをします。
ここで聞きたいのは感触、感触が良くない場合は他にまだ提案出来るか、結果がいつ出るか、並行営業してもいいか、条件の確認、などがあります。
技術者に対してお客さんが悪く誤解している点があれば解消しておきましょう。
また、並行営業をかけていいかも聞いておくとトラブルを回避できるでしょう。
まとめ
辞める前にまだやれることはありましたか?
最後にSES営業で結果が出ない人にありがちな行動パターンを教えておきます。
ダメパターン
行きやすい客だけに行って
話しやすい人とだけ話して
提案できる人だけ提案して
何もしなくても決まる人だけしか契約が取れない
OKパターン
良い案件がありそうな客を自分で選んで行って
決定権のありそうな人を狙って話して
一件でも多く提案出来るように技術者を説得して
決まる確率を上げる為に工夫をする
NGパターンに当てはまっているならすぐに改めましょう。