技術者のみなさん、常駐先でのお仕事お疲れ様です。
ITエンジニアとして客先常駐するならつきものなのが面談ですよね。
就職面接とは違った独特な雰囲気がありますし、しょっちゅうやるものでもないので苦手としている技術者の方も多いと思います。
ここでは、派遣や準委任などで行われる面談について、初歩の初歩から、間違えやすいポイント、オンライン面談での注意点などについて誰が読んでも分かるように説明していきます。
技術者の方(フリーランス含む)はもちろんですが、SESや派遣の営業をやっている人も是非参考にしてみて下さい。
面接と面談の違い
面接と言えば、就職や転職する時に受けるものですが、IT派遣(SES)業界では主に面談と呼んでいます。
なぜかというと「派遣は面接しちゃダメ」という決まりがあるからなんです。
SES(準委任契約)でも個人別に面接するのは良くないとされていますので、面談や顔合わせ、職場見学会、業務説明会などと言い方を変えて呼ぶ事が多いです。
どんな呼び方をしたところで、ダメだったら結局落とされるのでそれはどうなんだという疑問も残りますが、面談無しでアサインされてスキルアンマッチがあると、エンジニアも営業も大変なので、必要スキルや作業内容の確認の場だと考えましょう。
面談が組まれるまで
エンドユーザやSIer内で人が足りない時、派遣やSES企業に要員募集の連絡が入ります。(これを案件情報と呼び、電話やメールでの配信が一般的です)
所属会社の営業は案件情報に記載された必要スキルを基にマッチングをし、対応可能と思われる技術者がいれば顧客にスキルシートを送ります。
お客様は各社から送られてきたスキルシートを確認し、スキルマッチしているエンジニアがいれば所属会社に対し面談の依頼をします。
こうして面談が組まれます。
次に実際の面談の流れを説明していきましょう。
面談の流れと注意点
面談は大きく分けて次の4つのパートで構成されます。
- 案件の説明
- 経歴の説明
- 質疑応答
- 営業的な打ち合わせ(エンジニアは離席)
この流れにそって解説と注意点を解説していきます。
案件の説明
・お客様から今回の案件について、業務内容や勤務時間、どういう人やスキルを求めているかなどの説明を受けます。
・重要なポイントはメモを取る
・話を聞く時は相手の目を見る
・お客様から語りかけられたら返事(相槌)をする
商流の事や機密情報に関わるような事を逐一メモしてると時間もかかりますし、あまり歓迎されませんので、そのあたりは話を聞くにとどめておくと良いでしょう。
そのプロジェクトでお客様が問題(課題)と捉えている点や、求められているスキル、どういうポジションで仕事をしてもらいたいかなどをしっかりメモを取ると印象も良くなります。
尚、メモは面談が始まる前に机に置いておくのが望ましいです。
メモる必要が出てからカバンをゴソゴソ探す人がいますがそれは最悪です
先方が複数名いたり、営業がよくしゃべる人だったりすると意識が薄まりがちですが、選考されているのはあなたですので、あくまで主役は自分だという認識を持ちましょう。
要所で相槌を打ったり、うなづいたりなど、きちんと聞いている事が相手に伝わるように心がけてください。
営業が返事をしてるからといって自分は何も言わないのは良くありません。
喋りにくい雰囲気であればせめて大きめに頷くようにしてみましょう。
経歴の説明
・スキルシートを元に自分の経歴を説明します
意外と出来ていないのが、出だしと終わりです。
『○○と申します。宜しくお願いします。では経歴の説明をさせて頂きます』
で始めて
『経歴は以上になります』
で終わります。
名乗らずにいきなり経歴の説明を始めたり、どうやって終わらせていいか分からずに、いつまでもダラダラ話し続けてしまう人が結構いますので気を付けましょう。
案件説明で聞いた情報を基に、関連のある経歴に絞って説明していきます。
お客さんから今回の案件と関連のある経歴をご紹介下さいと言われているのに全て説明してしまう人がたまにいますが、これはコミュニケーション能力が低いという事で評価が下がってしまうので気を付けましょう。
より具体的に必要なスキルが分かっている時、例えばshellが必要な案件なら『今回の業務で必要とされているshellについてはこの案件で使用しています』などのように付け加えてあげるとベストです。
また、こちらが経歴の説明をしていても、相手は返事も相槌もしてきません。伝わってるか不安になって、問いかけたり反応を待ったりする人がいますが、自分のペースが乱れるだけなのでやめておきましょう。
実は経歴説明の時に相手が見ているポイントは、自身の経歴を分かりやすく説明出来るかと目を合わせて話をしているかぐらいです。経歴は先にメールでもらってますから、読み上げてもらう必要はない訳です。
それをわざわざ朗読させるのは、説明する力をチェックする為なのです。
※事前に全くスキルシートを見てない人も稀にいたりしますが、、、
ですので経歴の説明は
ハキハキと、通る声で、要所で相手の目を見ながら、簡潔に話せればOKです。
※これが難しい人は練習あるのみです
また、自分の業務内容が特殊で分かりにくい時など、一生懸命補足して説明しようとする人がいますがそれも不要です。
その経歴に興味があれば質疑応答の時に質問されますので、聞かれてもないのに余計な補足はやめておきましょう。
大体『今回の案件に関係ないしその説明いらないんだけどなー』と思われています。
尚、経歴は時系列順に話していく事をお勧めします。
人間どうしても調子がいい時と悪い時があります。
いい時は案件に関連性のある業務を抜粋して、あっちに飛んだりこっちに戻ったりしながら、さらにスキルのアピールもしてって感じで上手く説明出来るかもしれませんが、それが毎回出来るとは限りません。
相手のふとした質問で急に焦ってしどろもどろになってしまう事も多々あります。
それを避ける意味でも順に話していった方が、常に安定した説明をする事が出来ます。
先に案件内容が把握できていれば、どの経歴を説明するか事前に決めておくとより良いでしょう。
古い方から話すか新しい方から話すかは好みで大丈夫です。ただ、お客さんから開始時に『新しい方から3つくらい説明してください』などのように指定が入った場合はそれに従って説明するように注意してください。
質疑応答
・お客さんから経歴やスキルなどについて質問を受けたり、こちらから質問をします
・質問されたら、まずYESかNOかを最初に答える
・スキルについて聞かれたら出来る部分について話す
・質問の意味が分からない時は確認してから答える
・ネガティブな回答や質問をしない
出来ない事を聞かれたり、都合の悪い事を聞かれると、YESかNOか答えずに長々としゃべって、途中で何を言ってるか分からなくなってしまうパターンを良く見かけますが、これは最悪です。
経験がなくても面談に受かる事はいくらでもありますが、聞いた事に答えない人を取るお客さんはいません!
こういう場合は
『直接の経験はありませんが、項番○○の案件で近い経験がありますので、できると思います』
や
『経験はありませんが、以前から興味があったので是非やらせていただきたいです』
のように答えましょう。
また、スキルについて聞かれた時に、出来ない部分の説明を延々としてしまうケースを良く見かけますが、こういった時は出来る事と学習した事を話すようにしてください。
イメージしやすいようにExcelで説明してみます。
スキルについて聞かれた時の悪い回答の例
顧客『Excelは出来ますか?』
これでは出来ない事の説明ばかりで印象も非常に悪いですし、そもそも答えになっていません。
良い回答
顧客『Excelは出来ますか?』
技術者「はい、基本的な操作や表作成、簡単な関数については問題ありません。マクロについては学習経験があります。」
シンプルですが、実はこれが最も良い回答です。
質問した側が『これ以外の事は出来ないんだな』という事が瞬時に理解出来るからです。
また、質問の意味を取り違えて話し始める人も結構いますが、こういう人に限って空気が読めず、いつまでもしゃべり続けてしまいがちです。
これを防ぐには、まず落ち着く事、面談で聞かれそうな質問を先にピックアップしておく、質問の意味が理解出来なければ確認してから答える事、この三つを心がけるといいでしょう。
逆質問
次にこちらからの質問ですが、これには細心の注意が必要です。私が経験からたどり着いたのは
ってことです。
受かった面談を断る事はできますが、落とされたらそこでおしまいです。
そうならない為にもマイナスの印象を持たれそうな質問は避けたいところですが、不安な点を確認しないまま現場に入るのも嫌ですよね。
こんな時は、営業に聞いてもらうようにしましょう。(営業の人もそうしてあげてください、面談合格率が跳ね上がります)
心配や不安から出る質問には以下のようなものが考えられます。
- 残業はどれぐらいですか
- ○○の経験がないのですが大丈夫でしょうか
- その作業をいつまでに終わらせるんでしょうか
- 分からない時に質問できる人はいるのでしょうか
- 入ってすぐ立ち上がるのは難しいのですが大丈夫でしょうか
- 休みは取れますでしょうか
などなど、不安は人によって様々なので質問のパターンはこれ以外にもいくらでもあると思います。
こういったネガティブな質問は全部営業に投げちゃえばいいんです。そうすれば自分はノーダメージですから。
では、心配からくる以外の質問はどうしたらいいのでしょうか。
私の長年の経験の中で、最も面談合格率が高くなる方法をお教えしちゃいます。
しない
これです。
一般的にはあまり推奨されない方法ですが、これが一番合格率が高いんだからしょうがありません。
良い質問を事前に用意するのは難しいので面談の中で思いついた事を聞く事になりますが、ぶっつけ本番は非常に危険です。
自分ではいい質問だと思って聞いたのに、悪い結果になってしまう事が多くあるからです。
例えば、
と聞いたとします。
個人的にはとてもいい質問だと思います、社員採用の面接なら
実際の面談では、要件定義に携わる機会がない案件なら高確率で落とされます。
なぜなら、参画後に『思っていたのと違うので案件から抜けたいです』と言い出されると困るからです。
言われてみれば単純な理由ですが、質問している最中は相手がそんな風に感じているとは夢にも思いません。だって自分では向上心がアピール出来てるぞ!と思ってますから。
この例からも分かるように、良い質問を定義するのはとても難しいです。
では『何か質問はありますか?』と聞かれたらどうすれば良いかというと・・・
『はい、あったのですが、今までの説明でよく分かりましたので今の所はありません』
これです。どうですか、この無難さ。
この案件にすごく興味があって色々質問があったのに、説明が素晴らしかったんで全部解決しちゃいました、ありがとうございます!
感、満載ですよね。
付け加える余裕があれば
『もし聞きたい事が出てきたらまた質問させていただいて宜しいですか?』
と、言っておけばさらに良いでしょう。
退出時
最後に部屋から退出する時は『本日はありがとうございました、失礼します』と言って退出してください。
※エレベーター前まで見送ってもらった場合は、扉が閉まり切るまで頭を下げておきます
出口まで送るついでに本音を探ってきたり、面談では分からなかった人柄などをチェックしてくるお客さんは結構多いので気を抜かないようにしましょう。
オンライン面談での注意点
コロナが落ち着いた(とされている)今でも対面よりもオンライン面談の方がまだまだ全然割合としては多いです。
そこで、オンライン面談での注意点を挙げておきます。
カメラアングル
最初にこれかと思われるかもしれませんが、かなり印象を左右します。
とにかくカメラは自分の目の高さよりも上に設置するようにしてください。スマホの場合も同じです。
どうしてもカメラの位置が変えられない場合は自分が動いてください。
ノートパソコンなどで下からのアングルになってしまう場合、かなり印象が悪くなります。
使用ツールの事前確認
指定されたツール(Teams、Meet、Zoomなど)が初めての場合は必ず面談の1日以上前に一度試しておいてください。直前だと問題があった場合に対応が出来ませんし、営業がお客様とツールの変更などについて話しをする時間も取れなくってしまいます。
※過去にオンライン面談に参加できなかったという理由で落とされた事が何度かあります。他に候補がいなければ大丈夫かもしれませんが、最近は案件数の減少から競合がいる場合が多く、特にロースキルと呼ばれる案件ではかなりの高倍率になっていますので気をつけましょう。
面談当日は開始の5分前にはアクセスしておきましょう。5分前に入るのは失礼だとか言う営業が稀にいるようですが、お客さんでそんな事を言ってる人は聞いた事がありませんし、遅れて入ってくる方が100倍失礼です。
入ってからお客様の準備がまだであれば、マイクをミュートにして待機してください。
スキルシートの準備
ほとんどの場合はお客様の手元にスキルシートが送られていますが、先方が複数参加されてきてその内の何名かがスキルシートが手元にない場合があります。その時に画面共有をするように言われる事がありますので、スキルシートはデータでも必ず用意しておきましょう。
また、各ツールの画面共有の仕方も把握しておくといざという時に安心ですし、好印象を与える事ができます。
※基本的には営業が対応してくれる事ですが、自社の営業が同席していないとか、営業が出先でスキルシートが用意できないといったケースに備えておくとよいです。
返事、相槌を対面以上に意識する
オンラインの場合、何かあると誰もが回線が悪いかな?と思ってしまうものです。
聞かれた事に答えるまでに「無動作」「無前置き」「無声」な人がいますが、これは絶対にやめましょう。対面の数倍コミュニケーションが悪い印象を与えてしまいます。
お客様が話している際に頷く事と、誰ともなく語り掛けられたときには必ず自分が声を出して返事をするようにしましょう。
営業的な打ち合わせ ※技術者の方はスルーしてもOKです
ここからは営業的なお話しです。
営業が確認するべきことを箇条書きにしておきますのでチェックしておいてください。
□ 感触を聞く
□ 単価と精算幅を確認する
□ 結果がいつ出るか聞く
□ 自社の並行営業状況を伝える
□ 二次面談や顔合わせがあるか聞く
□ 何名枠に何人応募がきているのか聞く
□ その他、特殊な事があれば良く確認する(引継ぎ期間の減額とか)
もし受かってもこちらから断る可能性がある場合は『回答お待ちしております、こちらも本人の意思確認をしてご連絡いたします』と言っておくといいでしょう。
面談前チェックリスト
技術者さん向けに、注意事項のチェックリストを作成しましたので、面談直前のおさらいに活用してみてください。
経歴説明
□ 名乗って「宜しくお願いします」で始め、「以上です」で終える
□ 面談が始まる前に、机の上にメモを開いて置いておく
□ 自分が選考されてる意識をもって、返事と相槌をする
□ 経歴の説明中に余計な補足を入れない
□ 相手の反応を期待しない
□ ハキハキと通る声で、時折相手の目を見て話す
質疑応答
□ 質問されたら、最初に必ずYESかNOかを答えてから話し始める
□ スキルについて聞かれたら出来る事と学習した事を答える
□ 心配や不安から出る質問は営業に聞いてもらう
□ 逆質問では『はい、あったのですが、今までの説明で良く分かったので今の所ありません』と言う
□ 終わって部屋から出る時は、本日はありがとうございました、失礼しますと言う
□ エレベーター前まで見送ってもらった時は扉が閉まるまで頭を下げておく
面談に対しての考え方
今までしたような話をエンジニアにしていると、「それ(残業などのネガティブな質問)を聞いて落ちるならその方がいい」という人がいます。
私はそうは思いません。受けた面談は全て合格を目指すようにした方がいいです。
もし行きたくなければ後から営業経由で断ればいいんです。(営業さんには事前に言っておいてあげてくださいね。完全な後出しだと断り切れない事もあるので)
同じネガティブな質問でも面談の最中に聞くのと、相手に来て欲しいと思わせてから聞くのでは全然印象が違ってきます。
例をあげて説明してみると
『残業は結構あるのでしょうか?』という質問を面談の最中にしたとします。
(あ、高稼働を嫌がってるっぽいな。他にいい人がいたらこの子はやめとこう)
と、相手は内心で思います。
※実際は稼働が低くても今後絶対に上がらないかは誰にも分かりませんから、その時に不満で抜けられるよりは協力してくれる人の方がいいのは人情です
逆に、来て欲しいと思われてから聞くと態度が180度変わって
『それなりにはありますけど、そこまで稼働が高くならないように調整してますから大丈夫ですよ!』
と、何とか来てもらおうとしてきます。
こうなれば受けるも断るも主導権はこちらです。
※また面談時にこうお客さんから言われていれば、参画後実際に稼働が高まった時に営業の交渉も非常にしやすいです
ですので、どんな面談であってもまずは来て欲しいと思わせることが最優先になるのです。
ちょっと考えてもらいたいのが、残業の事を聞かなったけど面談に落ちたとしたらどうでしょうか?
その案件には行かないんだから、残業が多くても少なくても関係ありませんよね!
て事は、聞いても損しかないってことです。
これ実は自分で思ってるよりかなり損してしまいます。
- ネガティブな質問をして悪印象を持たれる
- 別案件があったとしても紹介してもらえなくなる
- 今後その客からもらった案件では受かりにくくなる
(営業が提案しても、あー、あの時の残業嫌がる人ですよね?やめときます、となってしまう)
このように、その面談に落ちるだけではなく見えないところでも被害甚大です。
逆に、是非来てほしいとなってから営業経由で聞いてもらえば、自分の印象はいいままで保たれます。(断りたい時も営業経由で断ってもらうようにします)
これなら、もしその面談が落ちたとしても別案件を紹介してもらえる事もありますし、次の機会にあの時の人なら面談なしでOKでいいよ!なんて事は結構あったりします。
『残業って結構あるんですか?』とちょっと聞いただけで(しかも、残業は平気だけど、何も質問しないのもまずいからって何となく聞いたとしても)これだけの差が出る可能性がある事を知っておきましょう。
SIerの案件の出所ってそんなに多くありません。面談中に変な態度を取って悪印象を与えるより、良い印象を与えたままにしておいた方が絶対に得ですよ。
まとめ
突然ですが、あなたはコミュニケーションが良いとはどんな事を指すと思いますか?
こう聞くと、話が上手とか、誰とでも人見知りせずに話せるとか、話が面白いとか、抑揚や身振り手振りを交えて話すとか、まぁこんな感じの回答が多く返ってきます。
ただ、私は違うと思います。
みなさんは技術者なのですから、そんな営業みたいな能力は求められていません。
技術者にとっての良いコミュニケーションとは
意思の疎通が正確に出来る
この一点につきます。
ですので変に意気込んで上手く話そうとする必要は無く、しっかりと聞かれた事に答えていけば十分です。
そう思う事で余計な緊張もしないで済みますので、面談中は正確に意思の疎通をする事を意識するようにしてみてください。
ここで書いた方法を実践するようにしてもらってから、面談が苦手だった技術者でも大幅に合格率が上がりました。
是非参考にして、面談に臨んでみて下さい。
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