IT技術者が面談で良く聞かれる質問と模範回答

質疑応答

IT技術者の顧客面談において、良く聞かれる質問と理想的な回答について理由を含めて解説していきます。

最初に

まずみなさんに知っておいてもらいたいのは

・顧客はあなたを雇ってくれる訳ではない

なので

・本当の事を答える必要はない

そもそも

・面談は違法である

という事です。

何が言いたいかというと、そもそも面談自体が法的にグレーだし、雇ってもらえる訳でもないので、あまり真面目に考えず気楽に臨みましょうという事です。

※決して「面談って違法なんですよね!」と言って回りましょうという事ではありません。

将来は何をやりたいですか?

質問の狙い
・長期継続してくれそうか
・向上心や、やる気があるか

この質問で顧客が確認したい事は、短期離脱の可能性と参画後のモチベーションについてです。

業務内容によって目指す回答が変わってきますので案件別に説明していきます。

オープン系開発案件の場合

開発の場合、1年以上の長期案件は少ないと思いますので、主にモチベーションをチェックされていると考えましょう。

オペレーション案件の場合

回答:オペレーターで経験を積んで、運用業務にステップアップしたいです

解説
運用案件において顧客が望むのは長期継続です。ですので開発や構築がやりたいとは
絶対に言わないようにしましょう。すぐに退場しそうだと判断され面談に落とされてしまいます。

ヘルプデスク案件の場合

回答:より知識を深めながら、マネジメントにも挑戦していきたいです。

解説
ヘルプデスクも基本的には長期継続を望まれる事が多い案件です。この場合も開発などの関係性のない回答は厳禁です。
ヘルプデスクはステップアップの選択肢があまりない為、技術的な話ではなく、マネジメント方向に話を持っていくのがBESTです。

短期案件の場合

開発や構築などで短期案件の場合は自分の考えをそのまま言って問題ありません。

ただし、やる気の無い回答は絶対NG!

新しい技術(具体的に)に興味があるなど、前向きな姿勢や技術習得への意欲をアピールしましょう。

保守開発案件の場合

回答:○○の技術(その案件で使う技術)を突き詰めていきたいです

解説
保守案件も長期になりますので、案件内容に合わせて、そこで使う技術を高めていきたいと答えるのがBESTです。
例えば、ホスト環境で銀行のシステムを保守する案件で、将来はWEB系をやりたいですと答えた場合、ほぼ確実に落とされます。
この場合は「銀行業務に精通したSEになりたいです」などが無難な回答です。

「将来は何をやりたいですか?」

と聞かれた時に一番大事なのは、案件内容に合わせて回答を変える事です。

そもそも、お客さんが雇用を保証してくれる訳ではないので、将来の事とか大きなお世話です。(自社に聞かれるのなら分かりますが)

ですので、本当の事を教えてあげる必要は全くありません。

長期案件の場合は、長く続けてくれそうだなと思わせる、それ以外の場合は向上心や、やる気があるなと思わせられるような回答を心がけましょう。

今までで一番大きな失敗はなんですか?

質問の狙い
・失敗に対してどのような対策を取ったか
・対策の成果がどれぐらいあったか
・必要に応じて周囲の協力を仰ぐ事ができるか

大事なのは失敗の内容ではありません。

効果のある対策を取れた事案について話すようにしましょう。

※たまに想像を絶するようなケアレスミスについて話す人がいますが、流石にどんな良い対策を取ったとしても落とされる可能性が高いです。

BESTな回答例

今まで一番大きな失敗は、手順書の認識間違いによりオペミスをしてしまった事です。

対策として手順書の修正を行いました。過去に他のメンバーもミスをしたことがある作業でしたが、その後、一度もオペミスは発生していません。

年下から指示を受ける事に抵抗はありますか?

質問の狙い
・年下の指示に従うか
・不満そうな態度をとったりしないか

稀に年下のリーダーに舐めた態度を取ったり、言う事を聞かない技術者がいますので、その確認の為の質問です。

BESTな回答

今までのプロジェクトでも年下のリーダーの下についた事がありますが、きちんと指示に従い、また良好な関係を築いてきましたので、全く問題ありません。

※大丈夫ですだけじゃなく、過去の例を出してあげるとBEST!(作り話でもOK)

休みの日は何をしていますか?

質問の狙い
・ストレス解消法を持っているか

業務と関係ない質問のようですが、実はストレス解消法を聞きたい場合が多いです。

ですので、何もしてないとか、ぼーっとしてるとか、一日中ネット見てるなどの回答はNGです。

一番理想的なのはサッカーや野球などの団体スポーツです。(体を動かすのでストレス解消になる、チームワークや協調性がある、友達が多い、といった印象を持たれる)

ただ、丸っきりのウソをつくのも難しいと思いますので、何か夢中になれる事であれば内容はそれほど気にしないでもOKです。

極端な例ですが

「とにかく寝るのが大好きで寝具にものすごいこだわりがあります。寝てる時か布団屋巡りをしている時が最高に幸せです。」

これは実は意外とセーフです。

このように内容はある程度なんでもいいので、仕事とプライベートが上手く区別出来てストレスを自分なりに解消出来ていそうだなと思ってもらえればOKです。

BESTな回答

友人と一緒にフットサルをやる事です。体を動かす事が好きなのでストレス解消にもなりますし、その後に友人たちと飲みに行くのも楽しみの一つです。そこで新しい人間関係が広がったりする事もあります。

通勤はどれぐらいかかりますか?

質問の狙い
・通い続けられるか
・勤怠が乱れたりしないか
・残業に制限は出ないか

通勤について聞かれるとやたらと遠い事をアピールする人が結構な割合でいます。

面談に落ちたいなら止めはしませんが、そうじゃないならすぐにやめましょう。

中にはお客さんが「○○分ぐらいですかね」って言ってきた事に対して、それじゃ着かないとムキになって説明したり、自宅から最寄り駅までの遠さ自慢を始めたりする人もいたりしますが、質問の意図を理解していればこのような間違いがしないと思います。

質問の狙いに書いた通り、お客さんは通勤を理由に退場や遅刻をされたり、必要な残業をしてもらえないといった事を心配していますので、こちら側としてはいかに遠くないか、また自分にとって苦ではないかを伝えなくてはいけません。

もし、通勤が一時間半かかるとして、それをお客さんが面談中に気にしているとした場合のBESTな回答は

「過去に通勤に2時間かかっていた事もありますので、一時間半なら全く問題ありません。終電も23時過ぎまであるので残業も特に制限なく対応できます」

こうなります。

ワンポイントアドバイス

・ちょっと近めに言う
一時間半なら・・・一時間ちょっと
一時間なら・・・一時間かからないぐらい

・家から駅までは何分であろうと相手には関係ないので極力短く言う
※乗車時間だけで一時間半かかるとして、お客さんから「結構かかりますね、家から最寄り駅まではどれぐらいですか?」と聞かれた時に「30分ぐらいですね」と答えたら絶対に落とされます。
ここは「5分ぐらいです」と答えましょう。通えない距離なら面談の前に断りましょう)

・あまりにも相手が心配するようなら、実は引っ越しも考えてますと取り合えず言っておく

・今までにもっと遠いところに通勤した実績があると作り話でいいので言っておく

残業は大丈夫ですか?

最近IT業界もクリーンになりつつあって、高稼働な現場も減ってきていますが、納期がある仕事など状況に応じて稼働が高くなることは当然ありえます。

ここで不安そうにしたり、嫌そうにすると落ちる可能性が高くなってしまいます。

中には「残業したくないので、それで落ちるならその方がいい」と言う人もいますが、これは大きな間違いです。

なぜなら、そのお客さんが残業のない別案件を持っていたとしても、残業を嫌そうにした人にはまず紹介しないからです。

仕事である以上何が起こるか分かりませんが、その時に協力してもらえないような人はどの現場でも嫌がられてしまいます。

こう言われて「じゃあどんなに残業があっても絶対やれって事か?」と思った人もいるかもしれませんが、そうではありません。

面談の時は何十時間でも残業します! と言っておいて、面談が終わってから営業に「無理です」と言えばいいのです。

そして営業はお客さんに別案件で決まってしまいました、と言えばいいわけです。

ですので

「必要がある残業なら」

とか

「終電までに帰れれば」

とか

「どれぐらいあるんですか?(不安)」

とか、余計な事を言わずに

「ハイ、問題ありません!」

と答えておきましょう。

※実際の残業時間は営業に聞いてもらってください

取ろうと思っている資格はありますか?

無い人は事前に必ず準備しておきましょう。割と聞かれるので。

言語系の資格や、ITIL、LPIC、CCNA、MCSA、Oracle、基本情報、応用情報などから自分の今までの経歴と、受ける案件の内容にマッチした資格を選んでおきましょう。

出来れば本ぐらいは買って途中まで読んでおけばよりリアリティがあっていいですが、そこまで出来ない場合は、これから取ろうと思っていますでも取り合えず良しとしておきます。

例えば今までLinuxサーバの保守をしていて今後構築に進みたい場合は「LPICのレベル2です」と答えるなど、今までの経歴と受ける案件内容に合致した資格を選ぶようにしてください。

何度も言いますが、お客さんは皆さんを雇ってくれる訳じゃないので、なんでもかんでも正直に答える必要はありません。

受け答えのルール

ここまで良くある質問に対しての具体的な回答を説明してきました。

ここからは受け答えの際に守った方がいいルールについてお話ししていきます。

○○の経験はありますか?と聞かれた時の答え方

質問者の意図
・出来るかどうか知りたい
・もし出来たらうれしい
・興味本位で聞いただけ

皆さん過去の面談で、業務内容に関係なかったり、必要スキルに入っていない経験について聞かれた事があるのではないでしょうか?

出来ない事を聞かれると焦ってしまったり、ムッとしてしまう人もいるかもしれません。

ただ多くの場合、相手も『必須では無いけどもし出来たらうれしい』程度で質問してきています。

ですので、必要以上に過敏に反応する事は避け、ポジティブな回答をするようにしてください。

例えば

「経験はないのですが非常に興味があります!」

とやる気をアピールしてみたり

「それに近い経験で○○をやった事がありますので、必要があれば早く立ち上がれると思います」

と、似た経験の説明をしてあげるのがいいでしょう。

絶対ダメなのは

「え?それが出来ないとダメなんですか・・・・?」

「その経験が必要なんて聞いてないんですが!」

とか

元気なく

 あ り ま せ ん 

とか

言い訳っぽく

「それは担当じゃなかったので」

「それは別のチームがやってたので」

「それはお客さん側の役割だったので」

といったような回答です。

当たり前ですが、面談中に経験を増やす事は出来ません。

経験がない事を気にして結果悪印象を与えてしまうよりも、今の自分をいかにアピールするか、相手に良い印象を与えるかの方が大事です。

 
面談は水物

経験は無いけどポジティブな回答をした場合
→他に経験者がいなければ受かる

経験も無く回答もネガティブ
→大体落ちる

自分に経験がなく、他に経験者がいたなら落ちても仕方ありません。あなたは全く悪くありません、悪いとしたらタイミングぐらいです。正に水物なので気にしなくて大丈夫です。

ただ、ネガティブな回答をしてしまうと他の候補との比較ではなく、単にあなたがNGと判断されてしまいます。これは避けるようにしたいですね。

○○は出来ますか?と聞かれた時の考え方

技術者の人が一番困る質問がこれではないでしょうか。

そもそもどこまで出来たら「できる」と言っていいのか良く分かりませんよね?

しかも、うかつに安請け合いして、プロジェクト参画後に責められるのも避けたいところだと思います。

こう聞かれた時のルールは一つです。

出来る部分と知識がある部分の説明『だけ』を、堂々とする

こう覚えておいてください。

ダメな例

「何をもって出来ると言っていいのか分かりませんが、一応経験はあります」

→答えになってない

「できません」

→明確な答えですが、やる気が全く感じられません

「出来るとは言ってもほんの触りだけです」

「手順書を見ながらやった事はありますが、出来るとは言えないかもしれません」

→面談中に謙遜は禁止!

このような受け答えをしていると高確率で面談に落とされてしまいます。

では、どう答えればいいのか『Excelは出来ますか?』と聞かれたとして説明してみましょう。

「表作成とVLOOKUPなどの関数は問題ありません。マクロに関しては学習経験があります」

これがBESTな回答です。コツは出来る部分と知識がある部分に焦点をあてて話す事です、

JAVAは出来ますか?と聞かれた時も、ネットワークの設計は出来ますかと聞かれた時も全て考え方は同じです。

慌てず、謙遜せず、ましてや卑屈にもならずに、堂々と出来る部分と知識がある部分について話すようにしてください。

さっきも言いましたが面談中にスキルは上げられませんし、言い訳や謙遜しても面談には受かりませんので、今の自分をちゃんと伝える事を意識するようにしましょう。

○○って知ってますか?と聞かれた時の答え方

「○○だと認識しております」

これがBESTです。

ダメなのは

「来る前にちょっと調べたんですけど○○って事なんですかね?」

「え、○○だと思ってたんですど、どうっすかね?」

こういった自信のない受け答えは評価を下げてしまいます。

認識しております、又は理解しておりますのどちらかで答えるのがいいでしょう。

○○なんですけど、どうですか?と聞かれた場合の考え方

質問の内容は別にして「どうですか?」と聞かれると非常に困りませんか?

通勤ってどうですか?
残業ってどうですか?
ちょっと厳しいお客さんなんですけがどうですか?
こういう作業もしてもらうかもしれませんがどうですか?
Excelってどうですか?

心の声:(どうってなんだよ!)

って感じですよね。

この面倒な質問の解決方法は簡単です。

全て「大丈夫です!」と答えてください。

相手も面談のプロじゃないので質問の仕方が下手な人がたくさんいます。

過去に「○○は大丈夫ですか?」と聞いて、ほぼ全員にハイと答えられた人が

『面談なんだから、大丈夫ですか?って聞いたらそりゃ皆ハイって言うよな』

と気づき、でも他にどう聞いていいか分からず、多少濁らせて相手に考えさせようとした結果がこの「どうですか?」です。

基本的には全て相手が不安で聞いてくる質問ですので、大丈夫ですと言うのがBESTな回答になります。

残業が200時間あるんですがどうですか?と聞かれても取り合えず「大丈夫です!」って言っておきましょう。そして、会社に戻ってから営業に言って辞退するのが賢いやり方です。

まとめ

技術者の方って真面目な人がすごく多いし、論理的に物事を捉える事が出来る優れた思考力を持っていると思います。

ただ、それが面談の時には逆効果になってしまう事が非常に多いのも事実です。

ウソはいけませんが、そもそも面談自体違法なんですからそれほど生真面目に答える必要はありません。

※違法性について論じるつもりはありませんが、私は必要悪みたいなものだと考えています。

まずはここで説明した質問者の意図を良く理解し、上手な受け答えを身につけましょう。

複数の案件に受かればどこに行くか選べますよね?でも全部落ちて何か月も自社に待機してたら最悪クビになるかもしれません。

クビまではいかなくても、実力以下の案件に就く事が多くなり、スキルは伸びず、給料は上がらず、年を取って会社から放り出されるかもしれません。

そうならない為にも面談が上手くなっておくに越したことはありませんので、頑張って練習してみてください。

たまに「そんなアピールとかしないでも受かる面談にだけ受かればいい」と言う人がいます。

経験のある案件ならそれで通ると思いますが、スキルアップ出来る案件には絶対に受からないでしょう。

その場合一生レベルアップ出来ないという事になります。

IT業界で効率よくステップアップしている人たちはほぼ全員面談でのアピールが上手です。

是非この記事を参考にして、一歩上のプロジェクトにも挑戦してみてください。

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