リーマンショック経験者が説明するフリーランスにならない方がいい理由

最近フリーランスがかなり話題になっていますが、本当に儲かっているのか?将来性はどうなのか?Twitterでフリーランスを推してくる人たちは全員金儲け目的なのか?などの点について考えてみました。

(執筆:ライター小暮)

フリーランスは儲かってる?

結論から言うと、どこと契約しているかでほぼ決まってきます。

エンドユーザか元請けと直接契約をしている

→儲かっている可能性大

エージェントを介して元請けと契約している

→それほど儲かってない(サラリーマンと変わらない程度)

フリーランスの収入の仕組み

エンドユーザの予算が月額80万(140h-180h)の案件があったとします。

自分自身で営業をかけたり知人の紹介などで、エンドと直接契約が出来た場合そのまま80万が自分に入ってきます。

ではエージェントを介して元請けと契約した場合はどうでしょうか?

元請とエージェントにマージンを抜かれて、自分のところに来る金額は60万弱ってところでしょうか。

ちなみにフリーランスの60万は概算でサラリーマンの35万くらいの価値しかありません。

フリーランスと言えば聞こえはいいですが、結局は個人商店ですから誰が守ってくれる訳でもない事も覚えておく必要があるでしょう。

フリーランスの将来性

顧客とは「業務委託契約」を締結する事が多いと思いますが、法律上では準委任契約に当たります。

労基の見解では準委任も請負と同様に誰の指示も受けず一人で完遂するのが原則で、そうでないものは偽装請負として罰せられる可能性があります。

つまり極端に言えば

今の能力で完遂出来る仕事ばかりやる=成長出来ない

とも考えられます。

顧客としても教育が必要なフリーランスと契約する理由は一つもありません

現在の給与に不満があって目先のお金を得たいならいいかもしれませんが、スキル面で将来にプラスになるような事は余程工夫しないと難しいでしょう。

※常駐前提のお話しです。経歴を盛れば話は別ですがトラブルになる可能性も高まります。

安定性

今から約10年前にリーマンショックが起きました。今の20代の人たちは経験していないと思いますが、IT業界にも深刻なダメージがありました。

多くの企業がIT投資をストップし、業界内から案件がなくなりました。作業量が減ったので人員は削減され、また単価も下げられてしまいました。

ここで皆さんに質問です。客がエンジニアを切る時どういった順番で切っていくと思いますか?かなりの人が、仕事が出来ないヤツが最初だと言うと思いますが、実際は違いました。

最初に切られたのはフリーランスだったのです。

理由はコンプライアンス面で不安だからです。

一人常駐は労基に偽装請負と判断される事が多いので、企業としては真っ先にそこから終了させていったのです。

元はITバブルによって引き起こされた人員不足(今と同じですね)が原因で、仕方なく使っていたのがフリーランスだったのです。

企業がフリーランスを最初に切る理由
・偽装請負を指摘される可能性がある
・情報漏洩などの事故の際、責任能力が低い
・企業が個人口座に入金するのは好まれない

フリーランスの次に切られたのは、日勤の運用をしていたエンジニアでした。開発やインフラ構築と比較すると専門性が低く、行く先のなくなったプロパーとの入れ替えの最初のターゲットになってしまったのです。

同じタイミングで開発系のエンジニアが終了していきました。運用は止められませんが、新規開発案件は簡単にプロジェクトが凍結されてしまいました。

新規は勿論、改修案件なども大幅な人員削減となりました。

ちなみにこの時意外に生き残ったのが夜勤の人たちです。プロパーに夜勤をやらせるのはためらう元請企業が多かったからです。

フリーランスの社会保障

フリーランスは国民健康保険と国民年金に加入する事になりますが、サラリーマンが入る厚生年金や社会保険よりも、もらえる金額が低いのはご存知ですよね?

個人商店をコツコツと経営してきた老夫婦が

「こんな年金じゃ生きていけない・・・」

と言っているのをテレビで見たことがある人もいるかもしれませんが、実際にどれぐらい違うのか、年金受給額から見ていきましょう。

平均 年金受給 (月額)

国民年金 5.5万

厚生年金 18万

参考サイトhttps://seniorguide.jp/article/1001439.html 

20年間年金を受給した場合の差はなんと2,200万円!

失業保険と傷病手当はもらえないよ!

失業保険という言葉はよく聞くと思いますが、これはサラリーマンが毎月払っている「雇用保険」から支給されます。

フリーランスは誰にも雇用されていないので支払わないでいい分、失業保険をもらう事も出来ません。

失業保険は、最大330日間、お給料の60%程度をもらう事が出来ますので、あるとないとでは大きな違いです。

傷病手当って聞いた事ありますでしょうか?これは社会保険に加入していると、ケガや病気で働けなくなってもお金がもらえる制度です。これのいいところは会社からではなく、国から支払われるのでブラック企業だからもらえない、といった事がありません。

しかもお給料の2/3程度をなんと、最大1年半もらう事が出来るのです。

※しかも途中で会社を退職しても(病気を理由にクビになっても)継続してもらうことが出来ます。

残念な事にフリーランスは社会保険に加入出来ませんので、事故や病気になってもこういった手当は一切もらえません。

仕事がなくなったらサラリーマンに戻ればいいんじゃないですか?

仰る通りですが、現実はそれほど甘くありません。

そもそも不景気で世の中に仕事がないんです。

当時、少ない求人にITバブルでいい気になった人たちが応募したところでほとんど受かりませんでした。

まず希望給与が高すぎ、要望(業務内容、残業、勤務地などなど)が多すぎて、採用しようという企業はあまりなかったのです。

もちろん、1年も経てば意識も変わり、元フリーランスの人たちも仕事さえあればどんな事でもやります。と言うようになりましたが。

ただ、惰性でフリーランスをやっていた人の経歴は、同じ技術の同じ工程ばかり細切れに続けている事が多く、ろくな就職は出来ず契約社員がいいところでした…一部の優秀な人を除いて

なぜ今フリーランスが多いのか

ネットの広告や、Twitterなどあちこちでフリーランスを褒めたたえる情報を目にしますよね?

これ99%は金儲けです。

・企業に人を紹介したらいくらもらえる

・アフィリエイトでフリーランスを登録させたら一人いくらもらえる

・自分のところで使いたい

・フリーランスの仲介業者

こういった人たちがあの手この手でフリーランスにさせようと画策しているんですね

フリーランスになっても大丈夫な人とは

・エンドや元請けから直で仕事を受ける伝手や営業力がある

・仕事をしながら営業も出来る

・単価が80万以上ある(商流が浅ければそれほど単価にこだわらなくてもいい)

・仕事をしながら新しい技術のキャッチアップができる

・常駐以外で継続的に仕事が受注できる

このどれかに当てはまる人はフリーランスになってもメリットがあると思います。

まとめ

最近のあまりのフリーランス推しに、ついつい否定的な内容になってしまいましたが、デメリットやリスクをよく理解して始めるのはなんの問題もないと思います。

ただ、メリットだけの甘い話に乗せられて、こんなはずじゃなかったとか、無計画に長期間常駐で働いて年を取ってから路頭に迷うような事がないように、よく考えてから行動する事をお勧めしたいと思います。

(執筆:ライター小暮)

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